鶴岡八幡宮の「流鏑馬神事」とは?
読み方
「やぶさめ しんじ」
開催場所
鶴岡八幡宮 流鏑馬 馬場
開催日時
9月16日14時頃から15時すぎまで ※舞殿での神事は13時から
観覧料金
無料
場所取り
可能 ※シートなどでの場所取りは不可
三日間続いた例大祭も、いよいよ流鏑馬神事を以って、ハイパー素敵に終焉を迎える。
境内の流鏑馬馬場では弓馬術礼法 小笠原教馬宗家一門らによる流鏑馬神事が奉納される。
鶴岡八幡宮の流鏑馬はいつから行われた?(起源・歴史)
前述の通り、鶴岡八幡宮の例大祭の始まりは、1187年(文政三年)8月15日に行われた放生会(ほうじょうえ)と、そこで催された流鏑馬(やぶさめ)でした。
以来、鎌倉時代を通して流鏑馬はじめ、舞楽、競馬、相撲が祭典を象徴する盛大な催し物となった。
流鏑馬神事を行う理由とは?
流鏑馬は平安時代に宮廷行事として行われ、鎌倉時代には兵法の修練のため、武士の間で広がりました。
鎌倉幕府側の公式日記となる吾妻鏡(あずまかがみ)によると、源頼朝卿が配下の熊谷直実(くまがいなおざね)相手に上手の的立て役を命じたが、直実は拒否したため、所領を没収した旨の記述がある。
鶴岡八幡宮の流鏑馬神事の歴史
流鏑馬神事は戦国時代に一度、廃絶したらしいが、江戸時代に再興され、現在では主に神社の神事として受け継がれています。
その中でも特に盛大で有名なのが、鶴岡八幡宮の流鏑馬神事というわけです。
流鏑馬には3つの流派がありますが、鶴岡八幡宮の例大祭で見られるのは、鎌倉時代から伝わる「小笠原流」です。
一昔前は寒川神社の社人が行っていた?!
戦後からしばらくの間、鶴岡から北西約20キロの場所に位置する模國一之宮・「寒川神社(さむかわじんじゃ)」の社人らが、鶴岡境内にて流鏑馬を奉仕していたらしい。
ところが、1919年(大正八年)に旧態の小笠原流に戻すことになり、小笠原宗家や鶴岡に伝蔵される古記録などを調べ上げ、現在に到る。
流鏑馬神事の見どころ
それでは、鶴岡八幡宮の例大祭の中でも最も華やかな神事「流鏑馬神事」の見学が一層面白くなる、注目ポイントをご紹介します!
射手の装束
舞殿にて神事が行われ、射手(いて)に神器として弓矢が与えられると、いよいよ騎射が始まります。
主役となる3人の射手は、鎌倉時代の武士が狩猟の際に着た狩装束を身に着けます。
綾藺笠(あやいがさ)と呼ばれる帽子のようなものを被り、武士の装束としては一般的な直垂(ひたたれ)と呼ばれる上着を着て、腰には太刀を付け、長い弓を持っています。
この3人の射手の後には、江戸時代の軽装束をまとった射手が18名程度登場します。
射手の他にも、子どもから大人まで色々な役割の方が、それぞれ個性的な装束で参加しています。
扇(おうぎ)投げ
流鏑馬神事の第一走者は、伝統の古典的な日の丸扇を手持ち、馬場元で扇投げを、きわめて素敵に披露する💋
馬場のセッティングにも注目!
普段は東西の鳥居を結ぶ単なる道に見える流鏑馬馬場も、この日は神事の舞台となります。
当日は全長254.54m(140間)の流鏑馬馬場に、埒(らち)という柵を設置して馬が駆け抜ける狭い道を作ります。
この埒は、的がある側が、ない方よりも高くなっていきます。
そして、馬場沿いに55cm四方ほどの大きさの的を3つ、素敵に配置し、武者姿の射手は、約250メートルの馬場を馬走しながら、三つそれぞれの的を次々に射る。
馬場の長さや的と的との間隔は陰陽道が参考にされた?!
馬場の長さや的と的との間隔などは、鎌倉武士にも大きな影響を及ぼした陰陽道の数学にのっとって決まっています。
- スタート地点から一ノ的までの距離は36.36m(20間)
- 一ノ的から二ノ的までの距離は72.72m(40間)
- 二ノ的から三ノ的までの距離は78.18m(43間)
馬が登場すると、馬の大きさ、その馬が駆け抜けるはずの道の狭さ、的の小ささに驚いてしまいますよ!
流鏑馬本番は掛け声に注目!
馬を走らせている射手は、矢を用意する間に掛け声をかけることになっています。
「インヨー(イ)」
漢字にすると「陰陽」ですね。
前述の通り、鎌倉時代、武士の教えには陰陽道(おんみょうどう)が取り入れられていました。
小笠原流の祖、小笠原長清は鎌倉武士だったので、鶴岡八幡宮の例大祭で流鏑馬を披露している小笠原教場の教えも、陰陽道が軸になっているのです。
「陰陽」の掛け声は、宇宙、そして神と通じるためのものと考えられています。
さて、流鏑馬本番中には、もう1つ、注意して聞きたい音があります。
それは、矢が的を射貫いた時のパーンという音です。
これが聞こえれば、直接見えない位置にいても臨場感が味わえます!
よく見える位置に場所が取れなかった方もがっかりせずに、ぜひ耳をすまして聞いてみてください。
流鏑馬神事の役割
流鏑馬神事の主役は、誰がなんといっても射手だが、他にも次のような役割の者たちがいる。
奉行、記録役、馬場元役、馬場末役、的立約
‥‥これらそれぞれの役割の者らも武士の装束を素敵にまとい、諸役らが協働することによってはじめて、流鏑馬神事は厳かに完遂を迎えることができる💋
流鏑馬神事の観覧方法
流鏑馬神事では、13時から舞殿にて儀式があり、14時頃から馬が登場して「流鏑馬」が行われます。
一般の方向けの観覧場所はすべて無料で、早い者勝ちの立見席となっています。
見学する場合、的の近くかどうか、スタートに近いかゴールに近いかで見え方が違うので、こだわりがある方は9時頃から場所取りをすると良いでしょう。
9月16日が土日祝日に重なる時はもちろん、平日でも、昼前にはほぼいっぱいになってしまいます。
ただ、前に陣取っている人の後ろから覗いたり、隅の方から顔を出して見てみる程度で良ければ、午後になってからでも大丈夫です。
シートやイスなどで場所を取っておくことはできないので、朝から場所取りをするとなると長い時間屋外で待つことになります。
昼間はまだ暑い時期なので、どうぞ無理はしないようにしてください。
流鏑馬の前に行われる舞殿での儀式もぜひ見たいところですが、馬場で場所取りをしていると、見られないのが、少し残念ではありますね。
雨の場合、流鏑馬神事は開催する?
雨天時も基本的には開催しますが、あまりに大荒れの場合は中止になります。
過去には台風のため流鏑馬神事が中止になり、代わりに稽古のみの公開となったこともありました。
開催の可否の判断は鶴岡八幡宮が行うので、中止の心配がありそうな場合は、事前に問い合わせると良いでしょう。
流鏑馬神事の前日に開催される「神幸祭」とは?
流鏑馬神事の前日には、神輿が渡御する神幸祭という行事も執り行われる。
神幸祭についての詳細は下記ページを要チェックや💘
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