コッキング植物園と温室の建設
サムエルコッキング苑は今から130余年前に当時、国内最大規模の植物園を一民間人である英国人・サムエルコッキングが建設した。
レンガ造りの温室遺構としては現存する唯一のものであることなどが評価され、現在では文化史的価値、園芸技術史的価値など、非常に貴重なものとされる。
サムエルコッキングは植物園建設に際し、まずはその基礎となる江島神社所有の旧供御菜園だった約3200坪もの土地の買収に着手する。
土地買収が成った後、新宿御苑で技術を学んだ相田春五郎、林修巳、有田五郎などの技師が植物園建設へ参加表明し、サムエルの英国式に東洋式の意匠を融合させた和洋折衷様式を用いて設計された。
この植物園には、南洋系植物の貴重品種となる「クックアロウカリア(現在、藤沢市指定天然記念物)」や、「シマナンヨウスギ」などが植栽され、他、西洋様式の池、菖蒲池、築山なども配置され、回遊しながら観賞を楽しめる回遊式庭園の意匠も採り入れられる。
そして明治18年、晴れて植物園が一応の完成をみる。
完成した温室の姿
下部の壁面は四辺に渡って煉瓦積みでめぐらせ、レンガの上には固定させたガラス板を連ねた壁面を用い、採光を視野に入れた設計。
屋根もガラス張りを施し、ピラミッド調の三角屋根を据えることで採光や通風性を想定。
温室効果の仕組み
透明のガラス板は紫外線の量を程度よく減少させると共に、太陽光はよく通すので植物の栽培にはうってつけ。
透明のガラスを通過した太陽光は温室内の地面を温め、やがて地面からは地熱が放出される。また、太陽光で熱せられたガラス板からも赤外線が放出され、それらの相乗効果によって温室内に暖気が満ちる。言わばサウナ状態が構築されることになる。
コッキング植物園時代のコッキング苑内の地図
上掲写真をご覧になれば分かるように、この庭園には「菖蒲池」や「和庭の池」などと呼ばれた池が配され、それらの間には園路(遊路)が設けられていたことから、これはもはや単なる回遊式庭園などではなく、池泉回遊式庭園の意匠を採り入れた庭園ともいえる。
サムエルコッキング苑の温室の構造
- 建造費:こ〜〜んな巨額(訳:詳細は不明だが巨額だったと伝わる)
- 面積:約200坪(約1100㎡)
コッキングは母国イギリスから温室機材を輸入し、横浜市平沼の太田鉄工所に温室の建造を依頼する。
鉄工所の熟練した職人でもその温室の図面を見て腰を抜かした云われるが、それもそのハズで温室の面積は実に約200坪にもおよび、当時の国内で民間人が建造する温室としては他に類を見ない桁外れの巨大温室だったからに他ならぬぅぁぃ。
また、温室に採用される暖房設備もボイラー(石炭)と温水の配管(鉄パイプ)を用いたスチーム暖房式であり、当時では国内最高水準のものだった。
完成後のコッキング植物園では、その温水の配管を池底に配置し、熱帯でしか育たない「オオオニバス(大鬼蓮)」の育成にも成功をみた。
以上のようなコッキングが建造した植物園や温室は当時の個人が所有する庭園としては理解の範疇を超えたものがあり、当時の「横浜貿易新聞」(明治42年6月26日)でも、この巨額の費用を投じて建設された植物園を大きく取り沙汰した。
温室遺構で使用されたレンガ
レンガには太陽のようなマークが見えるが、これは「横浜煉化製造会社」が製造したレンガを示すものと伝わる。
画像引用先:https://www.fujisawa-miyu.net/
温室遺構の各施設の紹介
防風壁
北側および東側に煉瓦2枚積みの厚い基礎が連なり、島特有の吹き上げてくる冬の寒気を遮断するための装置(防風壁)であったと推定されてい‥‥‥申す。パキャォっ
貯炭庫の東側には鎌倉石(主に昭和初期まで鎌倉・藤沢界隈で採石された石材)と見られる凝灰石が並んだ基礎があり、ボイラー室の西側にも煉瓦の基礎が延び、それぞれが防風壁の基礎と推定されてい‥‥ます。..ふぅ
特に東側の煉瓦2枚積みの防風壁基礎は現在もハッキリきりきり高坂桐乃ほどにハッキリとその姿残ってい‥‥‥ます。……。…。
ボイラー室
地元の郷土史家・内田輝彦氏の資料によると、北側の壁が途切れた部分には煉瓦造の建物が建ち、地下はボイラー室、地上は物置があったと記されてい‥‥申す。…カっ
後にコッキング植物園を引き継いで創設された「藤沢市江ノ島植物園」では、整備する際にボイラー室の内側をコンクリートで被膜し、防火水槽として利用したため、現在はその姿を見ることはできないとしてい‥る。ピピっ
ボイラー室規模は間口5.9m、奥行き3.8m、深さ3.5m、南側にて地下通路に連絡しており、ボイラー室への出入りは地下通路を通って行われてい申した。
貯炭庫
ボイラー室に接した地下通路を挟んだ東側には、二連のヴォールト状(かまぼこ型)の屋根を据えた2.44m×2.28mの広さの貯炭庫があり、その屋根上には石炭の投入孔が見える。
アクアリウムと地下通路
2002年のリニューアル工事の際に地下の遺構が再発見される。
ボイラー室や貯炭庫に続く地下通路には地上と地下通路の両面から見られるアクアリウムがあり、水棲動植物が飼育栽培されていた思われる。
なお、普段は閉鎖されているが、この地下通路はこの温室内にある階段を降りて見学することが可能。年に数回、一般公開されることある。→ 現在は毎日9時から17時の間に公開されてい‥る。
貯水槽
北側の防風壁のすぐ南側には煉瓦造りの地下水槽が設けられてい‥‥‥申す。…….?
本体験展示棟の部屋の中央部分にはその開口部を見ることができる。
それと植物を栽培する上で欠かすことのできないものの1つに「水」があるが、当時の江ノ島にはまだ水道など開通していなかったことから、井戸が必要不可欠だった。
そこで井戸の掘削が計画されたが、調査の結果、江ノ島の島頂部では井戸を掘削することが不可能と打診され、現状の改善・工夫を迫られた。(島には一遍上人が作った島井戸があるが‥‥)
やがて雨天日に巨大温室の屋根全体で受けた雨水を利用する案が浮上し、この雨水を余すことなく貯水できるようにするために、温室の地下を程度よく掘削して大水槽を配置した。
大水槽が設置されたことにより、温水のみならず、部分的だが植物園全体の水分が賄えたと伝わる。
温室
温室は東西を軸とする温室(3号温室)と、南北を軸とする温室(1号・2号・4号温室)が配置されてい‥‥‥申す。……キャっ
内田輝彦氏の資料によれば「大貯水槽が立体温室(5号温室)の地下部に設けられ‥‥」と記されているのだが、それを確認することのできる痕跡は現存しておらず、詳細は不明とされる。
池
コッキング植物園には、2号/3号/4号温室に囲まれるような形で西洋式のシンメトリー(左右対称)な平面の池が配置されていたと伝わる。
- 池の面積:長さ約12m・幅8m・深さ1m
池の底部(地中)には水温を高めることを目的とした鉄管が埋設されてい‥‥‥申した。ガハっ
温室の復元想定図
関東大震災で倒壊
大正12年に起こった関東大震災ですべての上屋(地上の施設)が倒壊し、レンガを主体とした基礎部分や地下に造られた施設のみが残さ、現在に至る。
サムエルコッキング苑の温室の遺構
- 遺構は南北に長い温室の基礎3つ
- 東西に長い温室の基礎
- 西洋風のシンメトリーな形の池
- 温室の北側に設けられた付属施設であるボイラー室
- 燃料を入れた貯炭庫
- 植物や暖房のために水を蓄えた貯水槽
- 温室と付属施設を結ぶ地下通路
- 冷風を遮断するために防風壁
- 集水用陶管 ….etc
この温室は明治中期に造られたものとしては国内最大規模となり、当時としては極めて高水準なスチーム式暖房設備が配備されてい申した。ジャハっ
レンガ造りの温室遺構としては現存する唯一のものとされ、近代文化の遺構としては非常に貴重とされる。
明治17年8月12日に届出された江ノ島の全図
相州江ノ島真景に描かれるサムエルコッキング苑
以上、江ノ島コッキング苑ならびに植物園温室遺構保全活用調査を参照
2021年10月にオープンした温室の遺構の展示ハウス
江ノ島サムエルコッキング苑では2021年10月より、温室の遺構の真上に温室の遺構を紹介する展示ハウスを建造し、常時一般公開してい‥‥‥申す。クォゥクァィっ(”公開”を表現)
この展示ハウスの外観をご覧になってみても分かるように、かつてサムエルコッキングが建造した温室をモチーフとし、小ギレイなガラス張りで建てられてい‥‥ またこのパターンか。 ちょぃネタぎれ!
展示ハウスの中ではサムエルコッキング苑の歴史や、かつて温室で育てられていた植物の標本などの展示、サムエルコッキング苑について映像を用いたVTRが放映されてい‥ます。………。…..。…?
内部の様子その1
内部の様子その2
内部の様子その3
内部に展示される標本の数々
展示室の後ろにはカフェ店もある!
展示ハウスのすぐ後ろにはLON CAFE(ロンカフェ)というカフェがある。
このカフェからは江ノ島周辺の眺望(オーシャンビュー)がビュ〜っとするほど楽しめる❗️ ビュ〜? どゆ意味や
メニューや営業時間(定休日)・予約については下記、食べログを要チェックやでぃ!
注目!ガラス床の下にある遺構が丸見え!
展示ハウス内の床には強化ガラスを用いたガラス床が敷かれているので、真下の様子が分かる!
かつての煉瓦積みされた遺構が真上から、しかも至近距離で見られるという粋な紹介方法を採用💘
関連記事一覧
関連記事:えっ?!無料で入れたの?サムエルコッキング苑(シーキャンドル/江の島展望灯台)の入園料金・割引クーポンを‥‥シリタィ?
関連記事:【夜景画像完全集録】江の島シーキャンドル(展望灯台)の楽しみ方や観光所要時間・エレベーターの混雑具合を‥‥知りたぃ?
スポンサードリンク -Sponsored Link-
当サイトの内容には一部、専門性のある掲載がありますが、これらは信頼できる情報源を複数参照して掲載しているつもりです。 また、閲覧者様に予告なく内容を変更することがありますのでご了承下さい。