鶴岡八幡宮の神紋(家紋)は、「鶴丸紋」もしくは「鶴の丸紋」と呼ばれる。
「鶴丸紋」とは?
⬆️鶴岡八幡宮の神紋「鶴丸紋」
鶴丸紋に描かれる鶴は、クチバシを閉したまま左を向き両翼を大きく頭上へ向けて丸く素敵に広げまくるポージングをとる。
実は鶴丸紋は鶴岡八幡宮独自の紋所ではなく、有名どころで言うと、藤原北家の公家・日野家が用いた紋所として名高い。ほか、近代での有名どころとしては、「JAL(日本航空)」が挙げられる。
⬆️JALロゴマーク
鶴岡八幡宮の「鶴丸紋」は頼朝卿ゆかりの紋所
鶴岡八幡宮における「鶴丸」とは、「鶴岡」の名称にちなんだ紋名になる。
記録によると、1187年(文治3年)8月15日、源頼朝が主宰した放生会(第一回目※最初の開催)にて、由比ヶ浜に鶴を1000羽、放生したらしく、その故事を具象化した伝説の吉祥紋となる。
⬆️ありし日の頼朝卿主宰の放生会を描いた浮世絵「大日本名将鑑(月岡芳年 著)」より
鶴丸紋の意味や由来とは?
古くから鶴は、『亀は万年、鶴は千年』‥などと長寿の象徴として尊ばれ、吉祥の象徴的存在でもある。
その鶴を紋所として取り入れることで、家運隆昌、一家安寧などの願掛けを兼ねる。
ところで‥「鶴」とは?
「鶴(ツル)」は、アメリカ大陸はじめ、アジア圏、ヨーロッパ圏と幅広い地域に生息する。
古代中国では、「仙禽(せんきん/仙人に仕える霊鳥)」と、きわめて素敵に讃えられ、高位高官を示す装飾品にも採り入れられた。
我が国では、雌雄を対にすることで夫婦和合や子孫繁栄の利生が得られるとし、なにかと奇瑞の霊鳥として扱われる。
しかしながら、霊鳥とは逆の存在として扱われるケースもある。
例えば、北欧では「死を運ぶ鳥」、ケルト神話では「殺戮を好む神」などとされる面もある。
ともあれ、か細く上品な姿態からして摩訶不思議な鳥であるのには違いない。