「八方睨みの亀」が奥津宮の天井裏に飾られる意味とは?|『江の島と亀の由来』

八方睨みの亀【藤沢市有形文化財指定】

制作年:1803年(享和3年)

作者:酒井抱一(片岡華陽による復元)

模写画:野澤提翠(大正15年 筆)※酒井抱一の末流とも。

復元画:片岡華陽(平成6年 筆)

作品名:正面向亀図

墨書銘:画面の右側に「維時享和三年龍集昭陽 大淵献夏林鐘之月 抱一製」という墨書銘があり。

「八方睨みの亀」の名前の由来

どこから見てもこちらを睨んでいるように見えることから「八方睨みの亀」と呼ばれます。

「八方睨みの亀」とは何?ドコにある?

「八方睨みの亀」は、奥津宮拝殿の天井にはめ込まれている亀の画像のことです。

本当にどの方向からでもコッチを向いているのように見えるのか?検証してみた

手前(南)

正面(真下)

反対(北)

南西

結論!

「八方」にちなんで、全8方向を完全に試したワケではないが、この絵の書き方からしてどの方向へ移動しても亀と目が合うっ!




「八方睨みの亀」の由緒(歴史)

残念無念ながら、現在掲げられている「八方睨みの亀」は、1994年(平成6年)に描かれた模写です。そぅ、つまりレプリカっ!カカカっ

原画は1971年(昭和46年)に藤沢市の指定文化財となったこともあり、海風の塩害など、諸害から守るために、江島神社の宝殿の内部にて大切に保管されています。

桐材に正面向きの亀の下絵を描き、上から金箔押しを施しています。強い線で描かれ、もとは胡粉、緑青、丹色されていました。

作者の酒井抱一とは何者?

酒井抱一(さかいほういつ)は江戸後期の画家・俳人。化政文化を代表する存在でした。

酒井抱一は姫路藩主・酒井忠以の弟で尾形光琳に傾倒し、琳派の画風を受け継いで興隆させた人物です。

代表作は「風雨草花図」(夏秋草図)や、「月に秋草図屏風」。いずれも国の重要文化財の指定を受けています。

「八方睨みの亀」が奥津宮の天井裏に飾られる意味や由来とは?

江の島には亀の像や亀にまつわるものが散見されますが、亀は万年で長寿の象徴、亀の甲羅は六角形をしていることから縁起が良いなど、なにかと吉兆の霊獣、ハレの意味合いを持つ霊獣として見られまする。

中国の神仙思想(しんせんしそう)では、仙人の暮らす蓬莱山は霊亀の背中の上に存在するとも言われ、江の島が神仙思想の影響を受けてきたとも考えられています。

江の島を亀と見立てた縁起・名称など一覧

江島縁起

江島神社に伝承される江島縁起のいちばん最初のページ(巻頭部分)には「崑崙山の奇をうつし‥‥‥蓬莱海の勢をつたへたり、三壺のかたち新たなり」と江の島の姿形を讃えた一文が見えます。

金亀山 興願寺

また、江戸時代、この江の島は「金山 興願寺」と号し、「亀」の字を用いています。

大休正念の七言律詩

臨済宗の高僧「大休正念」は蘭渓道隆を慕い、江島を口ずさんだ時の七言律詩に「巨」と表しています。

加東節

江戸浄瑠璃の江戸半太夫の高弟「十寸見(ますみ)河東」が創流した「加東節(かとうぶし)」では、「島の形は亀に似て」と評しています。

常磐津節

三味線音楽の一種である「常磐津節(ときわづぶし)」では、「福寿円満増長し、蓬莱洞(蓬莱宮)の入り江の波も」と歌われています。

亀石

この他にも付近に「亀石」なるものがあります。亀石の詳細については下記ページをご参照ください。

手水舎の沓石・龍口(竜の口)

手水舎にも亀を型どった沓石とされた像が2躯(体)と、手口を清めるためのお水が出てくる部分となる龍口が亀になっています。

以上、亀や蓬莱洞(蓬莱宮)が瑞祥のシンボルとして踏襲されていった感は否めません。

江の島に亀に由来したものが多い理由

このように亀が江の島で評される所以は、江の島そのものが亀の形をしており、さらに江の島そのものが蓬莱洞(蓬莱宮)に例えられたからでしょう。

実際、江の島へ参拝することのご利益として、「不老長寿」を賜ることができる島とされ、江戸時代の江島詣に拍車がかかったそうな。

手水舎の亀の像

通常は龍口から水が流れ落ちているが、奥津宮の手水舎では亀口から水が流れ落ちてきて、口と手をすすぐ。

沓石(敷石)もやはり亀っ!

亀というよりは像容を見ていると中国の玄武に近いものがある。マリオのクッパを思い出す。

亀石(亀甲石)

この手水舎の前には御神木が祀られており、その前には亀の形をした石ころコロコロどこ行った‥‥が祀られています。

この亀の形をした石は古くから「亀石」と呼ばれているようですが、この謎の詳細は下記ページにて。




忘れずに!八方睨みの亀にちなんだグッズ(授与品)!

八方睨みの亀のステッカー守

江島神社では「八方睨みの亀のお守りステッカー」授与されています。

ご利益は次の通り。

古来より、亀は長寿を意味する縁起の良いものとされています。

『八方睨みの亀』は八方位の全てにおいて邪気を祓い御守護下さいます。

家の玄関や柱、大事な場所などに貼り、大切にお祀り下さい。

八方睨みの亀の御朱印

「八方除」「萬福招来」 と書かれている。まさに吉兆の象徴たる所以。

  • 授与場所:辺津宮本殿前の御朱印授与所
  • 初穂料(値段):500円

江の島の観光スポット一覧

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