大江広元邸は複数あった？
大江広元は鎌倉幕府最大ともいえる功臣だけあって、鎌倉に与えられた邸宅も多かったと伝わる。
以下で述べる広元邸は吾妻鏡にも登場したもの。
十二所に存在した大江広元邸
現在、鎌倉で唯一、大江広元邸址の伝承地とされているのが、鎌倉十二所の明石橋付近の地になる。
当地には毎度おなじみの鎌倉町青年団の石碑が建てられているものの、実際に邸宅が在ったのは石碑の裏側辺り、まさに現在のミニストップ鎌倉十二所店の敷地とされる。
⬆️歯を磨いていて時折ウェっ！‥てなった時ほど噂の‥‥「十二所・大江広元邸址の石碑」
大江稲荷は邸宅後方の小山の頂（高台）に在った
また、明王院にお聞きした話では、ミニストップ鎌倉十二所店の店脇（もしくは後方）の高台（小山の頂）には広元公が自らの邸宅を建造する際、土地神として、はたまた屋敷神として稲荷神を奉祀したとのこと。
その後、稲荷社は江戸時代に現在地へ移築（遷座）し、星霜経て当地にはミニストップが建てられたことになる。（その前はエネオス）‥‥‥栄枯盛衰、時代の移ろぃとは‥‥、何とも儚きことよ。ホホっ
⬆️よおっ！‥‥と大声で呼び止めたヤツが別人やって、その先に居ると思わせて通り過ぎた時の心境ほど噂の‥‥「ミニストップ十二所店の裏山」
大江広元の十二所邸宅の存在は定説ではない
そもそも大江広元の十二所邸宅が当地（明石橋付近）に在ったという話は、あくまで伝承の域を出ないとされる。
大江広元の邸宅が十二所に在ったという鼻血‥‥ではなく、話！の出どころは、幕末に広元の子孫である毛利氏縁故の長州藩士が、藩祖の祖として崇められる広元の墳墓（十二所山奥）周辺をもとに推定したもの。したがって根拠は何ら無いとされる。
ただ、広元の供養塔（墳墓）が十二所の山奥にある事実から察して、墳墓周辺に建っていた可能性は高ぃ。
なお、長州藩祖・毛利輝元は大江広元の後裔（子孫）。「大江輝元」とも称する。
十二所の大江広元邸址の石碑の場所（地図）
十二所の大江広元邸址の石碑の内容
大江氏奕世（えきせい/幾つかの異なる時代を経て）學匠（がくしょう/学問に優れている）トシテ顕ル（世に名を轟かす）嘗テ（かつて）匡房（大江匡房/おおえ の まさふさ）兵法ヲ以
テ義家（源義家）ニ授ク廣元ハ其ノ匡房ノ曽孫（そうそん/ひまご）ナリ頼朝
ニ招カレテ鎌倉ニ來（来）リ常ニ帷幄（いあく/作戦計画を練る所）ニ侍シ（じする/仕える）機密ニ
参畵（参画）ス幕制創定（幕政における法律や規則などを初めて定める）ノ功廣元ノ力興リテ（おこりて/寄与）多キニ居
リ相模毛利荘ヲ食ム（はむ/俸給を受ける）子孫依リテ毛利ヲ氏トス（毛利氏は大江広元の四男・相模国毛利荘を領した鎌倉幕府御家人の毛利季光を祖とする）
而シテ（しかして/そうして）因縁奇シクモ（偶然にも）此ノ幕府創業ノ元勲（げんくん/国家に尽くした勲功）ガ七
百年後ノ末裔ハ王政復古ニ倡首（しょうしゅ/先導する※幕末の毛利氏は長州藩を率ぃ明治維新を完遂させる）タリ此ノ地即
チ其ノ毛利ノ鼻祖（始祖）大膳大夫（だいぜんしき/広元のこと）ノ邸址ナリ
大正十四年三月建 鎌倉町青年團
大倉（横大路・筋違橋）にも存在した大江広元邸
先に残念なお知らせをしておかなければならぬぁい‥‥のだが、大倉の大江広元邸址というものは現在、無ぅぃ。
ただ、吾妻鏡に記される以下のような事実を以ってして、当地に所在した可能性が極めて高ぃ。
1213年（建保元年）12月1日、大倉御所周辺の民家から発生した火事にて当時、大倉に在った大江広元邸（宿所とも）が焼失。
1219年（承久元年）正月7日、再び大倉御所周辺からの出火によって広元邸を含めた40余棟が全焼す。
1225年（嘉禄元年）4月30日、大江広元の四男・大江季光（おおえ の すえみつ/毛利季光）の御所向かいの宿所が全焼す。
上記、1225年の「大江季光の宿所」というのは単純に考えて、広元の邸宅を相続したか、あるいはこの頃、広元は死す約1ヶ月前ということで病床に在ったため、広元から譲り受けたとみる方が自然。
‥‥ということは1225年4月30日時点の広元は、十二所の邸宅にて病床に在り、その約1ヶ月後の死没後（6月10日）、遺骸の埋葬地として邸宅周辺の高台が検分され、現在の大慈寺奥の山の頂が選定された‥‥のだろぅか。
いずれにせよ、吾妻鏡の記述を信じるならば、広元の邸宅は大倉御所の向かいの地だったことになり、その場所は同じく大倉に在った義時邸の斜め向かいに比定される。
‥‥ということは現在の筋替橋（筋違橋）より以東、ちょうど「
鎌倉ハンバーグ雪ノ茶屋」＆「パークハウス鎌倉雪ノ下」＆「岐れ路（交差点）」の金沢街道沿いに比定される。
大江広元 大倉邸の推定場所
