【レストランや茶室が人気の古刹】鎌倉・浄妙寺の「見どころ・アクセス・歴史」など
浄妙寺は風格あるどっしりとした屋根の本堂が特徴的なお寺ですが、一方で、イングリッシュガーデンを眺めながら素敵なランチを食べられる洋館も備わっているという珍しいお寺でもあります。
鎌倉五山の第五位という高い寺格をもつお寺でもあり、境内には鎌倉の名前の由来になった神社もあります。
山号は稲荷山(とうかさん)、詳名は稲荷山浄妙広利禅寺(とうかさんじょうみょうこうりぜんじ)といいます。
今回は浄妙寺の見どころ・アクセス・歴史についてお伝えいたします。
読み方
- じょうみょうじ
- お寺の名前は「浄妙寺」ですが、このあたりの地名やバス停の名前は「浄明寺」と表記されており、漢字が違います。
- 地名を決めるときに、浄妙寺に遠慮してあえて真ん中の字を明に変えて「浄明寺」としたとの説があります。
創建年
- 1188年(文治4年)
開基/開山
- 開基:足利義兼
- 開山:退耕行勇
御本尊
- 釈迦如来
浄妙寺の歴史(由来)
源頼朝の重臣である足利義兼(あしかがよしかね)が1188年(文治4年)に建てました。
当初は密教(真言宗)の極楽寺という寺でしたが、足利義氏(あしかがよしうじ・足利義兼の三男)の時に臨済宗に改められました。
その後、1257年~1259年(正嘉年間)ごろに建長寺を開山した蘭渓道隆の弟子である月峰了然が住職になってから禅宗の寺院となり、寺名も足利貞氏の法名をとって浄妙寺に変えられたとのことです。
1386年(至徳3年)に足利義満は浄妙寺を鎌倉五山第五位としました。寺の最盛期には、23院の塔頭(たっちゅう:小寺)がある大寺院でしたが、火災などで衰えていきました。
鎌倉五山とは
日本の禅宗のうち、臨済宗の寺院を格付けする制度です。
京五山と鎌倉五山があり、鎌倉五山は第一位建長寺、第二位円覚寺、第三位寿福寺、第四位浄智寺、第五位浄妙寺の順で定められています。
幕府が任命した住職を順次上位の寺に昇進させることで、寺を幕府の管理下に置こうとしたもので、鎌倉幕府の5代執権・北条時頼の頃に中国の五山の制度に倣ったのが始まりでした。当初は寺院や順位などが変動しましたが、最終的には1386年(北朝至徳3年・南朝元中3年)室町幕府3代将軍・足利義満の時に、京都と鎌倉にそれぞれ五山、その上に最高寺格として南禅寺が置かれました。
浄妙寺の御本尊「釈迦如来」について
釈迦如来とは、仏教の開祖である、いわゆるお釈迦様がモデルになった仏さまです。
お釈迦様は今から2600年ほど前にインドの北部の王の息子としてお生まれになり、王族として何不自由ない生活の中を送っていましたが、そんな生活を送っていてもいつかは老・病・死の3つから逃れられなくなるということに人生の無常を感じ、29歳の時に出家しました。
6年間の修行ののち、35歳の時についに仏の悟りを開き、80歳で亡くなるまで周りの人々に説いて回ったとのことです。
そのことから、釈迦如来には「人を悟りへと導いてくれる」というご利益があります。
釈迦如来像は当時のお釈迦様のように質素で装飾品のないお姿をしています。
本堂に祀られていますが、堂内には入れないため一般の参拝者は見ることができません。
浄妙寺のその他の仏像
聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)
鎌倉三十三観音第9番。
別名、観音菩薩とも呼ばれます。
観音様は人々を常に見ていて苦しんでいる人を救うときには三十三の姿に変えて救いの手を差し伸べます。
もともとは「正法明如来(しょうほうみょうにょらい)」という仏でしたが、人々を救うため如来よりも人間界に近い菩薩となりました。
その観音菩薩の基本のお姿が聖観音菩薩となります。
苦難除去、現世利益、病気平癒、厄除け、開運、極楽往生などのご利益があります。
本堂に祀られていますが、堂内には入れないため一般の参拝者は見ることができません。
淡島明神立像
婦人病や子授け・安産にご利益があるとされています。
本堂に祀られていますが、堂内には入れないため一般の参拝者は見ることができません。
浄妙寺の境内図と見どころ
境内は国の史跡名勝天然記念物とされています。
- 史跡名勝天然記念物登録日:1966年(昭和41年)11月2日
山門
バス停から2分ほど歩くと瓦屋根の山門に到着します。
石段の左手前には石塔が、山門には「稲荷山」の山号の額が掲げられています。
山門を入るとすぐ左手に受付がありますので、そこで拝観料を収めて入ります。
※2019年11月現在、山門から花塚手前までが工事中で立ち入り禁止となっています。工事が終わるまでは山門手前から右奥に伸びる道を登っていくと臨時の拝観受付があります。

花塚
山門を入ってまっすぐに歩き、本堂へ続く階段の左手前に花塚があります。
毎年花への感謝を込めて花供養が行われます。
本堂
本堂は、凸型に湾曲した「むくり屋根」が特徴的で、どっしりとした印象の建物です。
堂内には、「木造釈迦如来坐像」、「木造淡島明神立像」が安置されています。
現在の本堂は江戸時代中期の建物ですが、仏壇の周辺は室町時代の物が用いられているそうです。
本堂の中には上がれません。
建立年
- 文治4年(1188年)
再建年
- 宝暦六年(1756年)
建築様式
- 寄棟造
屋根の造り
- 銅板葺(もと茅葺)
大きさ
- 正面(桁行)八間、奥行(梁行)六間
木造釈迦如来坐像(鎌倉市指定文化財)
浄妙寺の御本尊です。
- 制作時期:南北朝時代
- 素材:木造
- 大きさ:像高65cm
- 文化財登録日:2000年(平成12年)11月15日
木造阿弥陀如来立像(神奈川県指定文化財)
- 制作時期:鎌倉時代
- 素材:木造
- 文化財登録日:2001年(平成13年)2月13日
木造淡島明神立像
- 制作時期:江戸時代
- 素材:木造
- 大きさ:像高34.1cm
婦人病や子授け・安産にご利益があるとされています。
鎌足稲荷神社(かまたりいなりじんじゃ)
鎌足稲荷神社は山号である稲荷山にあり、山門の手前右脇の小さな道を登っていきます。


鳥居の先に小さな祠があります。
周りは木々に囲まれていて森の中にひっそりと建っています。
昔、藤原鎌足公が産まれた時に稲荷大神が鎌を授け、鎌足はお守りとしてずっと身につけていました。
その後、大化の改新を成し遂げた鎌足公は翌646年(大化2年)、鹿島神宮に向かう途中に相模国由井の里(現在の由比ガ浜)に宿泊されました。
その夜、「あなたに鎌を授けて守護してきたが、今や蘇我入鹿討伐という宿願もなし遂げたから、授けた鎌を我が地に奉納しなさい」との神様からの告げがあり、お告げの通りに鎌を当地に埋納しました。
このことが「鎌倉」の地名の由来になったそうです。


開山堂
浄妙寺の本堂背後にあります。
堂内には、「木造退耕禅師坐像(国の重要文化財)」、「木造藤原鎌足像」、「木造三宝荒神立像」、「伽藍神倚像」など寺宝が安置されていますが、開山堂には一般の参拝者は入ることができないので非公開となっています。
木造退耕禅師坐像(国の重要文化財)
- 制作時期:南北朝時代
- 素材:木造、像高66cm
- 文化財登録日:1942年(昭和17年)12月22日
木造藤原鎌足像
- 制作時期:江戸時代
- 素材:木造
木造三宝荒神立像
- 制作時期:室町時代
- 素材:木造
伽藍神倚像
- 制作時期:1731年(亨保16年)
- 素材:木造
紙本淡彩地蔵菩薩像 足利尊氏自画賛
- 素材:木造
喜泉庵(きせんあん)
建立年
- 1500年代(天正年間)
再建年
- 1991年(平成3年)
建築様式
- 木造
枯山水の庭に向かって座りながら、お抹茶をいただけます。
ツバキや白梅などの季節の花が咲くほか、12月初旬には紅葉も見られます。
現在の喜泉庵は、明月院庭園なども手掛けた京都の曽根三郎(曽根造園)によって復元されたものです。
こちらの喜泉庵で枯山水のお庭を眺めること以外にもう一つ楽しみたいのが、「水琴窟」です。
お庭のつくばいから伸びる竹筒に耳を傾けると、水の滴る音が地中に埋めてあるかめに共鳴して奏でる神秘的な音色を楽しむことができます。
- 抹茶と干菓子の値段:600円(税別)
- 抹茶と美鈴の生菓子の値段:1,000円(税別)
- 営業時間:10:00~16:30(受付は16:15まで)
- 問合せ先電話番号:(喜泉庵)0467-22-8638


宝篋印塔(市指定有形文化財)※足利貞氏の墓
建立(設置/奉納)年
- 1392年(明徳3年)
1331年(元弘元年)に亡くなった足利貞氏(室町幕府の初代征夷大将軍である足利尊氏の父)の墓とされていて、中央に宝生如来が彫られています。しかし、1392年(明徳3年)の銘があり、基台に逆修塔(生前に建てる石塔婆)という銘文があるので足利貞氏の墓ではないという説もあります。

散策路
喜泉庵の奥の石段を上っていくと、白いトイレの建物が見えます。
その建物の右奥が衣張山を一望できる散策路になっています。
3~4分もあれば1周できますが、足元に滑りやすい石段がありますので気を付けてください。

足利直義の墓
足利直義は足利貞氏の三男、足利尊氏の弟です。
尊氏との権力争いに負けて鎌倉に幽閉されていました。
後述する石窯ガーデンテラスの入り口の脇に、小径があります。
その小径を進むと竹林の先に3つの祠があり、一番手前の祠が足利直義の墓となっています。
鎌倉・浄妙寺のランチスポット「石窯ガーデンテラス」
1922年(大正11年)にドイツ人の設計によって建てられ、貴族院議員だった犬塚勝太郎氏が住んでいた歴史ある洋館をリフォームし、2000年に石窯ガーデンテラスがオープンされました。
また、かつて日本庭園だった庭をスコットランド人ガーデナーのニコラス・レナハンさんという方がイングリッシュガーデンにリフォームしたそうです。
鎌倉産の旬の食材を使ったこだわりのお料理と、レストラン裏のパン工房で毎朝焼いているパンを、イングリッシュガーデンを眺めながらお食事できます。(店内のお席とテラス席があります。)
パンは富士山の溶岩を使った溶岩釜で焼いているそうで、テイクアウトもできます。
土日は混むので、ランチなら11:30までには行ったほうがいいでしょう。
石窯ガーデンテラスのイングリッシュガーデン
イングリッシュガーデンは四季に応じて様々なお花が咲きます。
- 春:アイリス・レティキュラータ、シラー・シベリカ、ヒヤシンスムスカリ、サクラ、チューリップなど。
- 初夏:フジ、バラなど。
- 夏:エキナセア、モナルダ、ルドベキア、ノリウツギなど。
- 秋:シュウメイギク
石窯ガーデンテラスの人気・おすすめランチメニュー!
ランチメニューは、
- お魚またはお肉のメイン+スープとパンとコーヒーor紅茶が付くセット
- 季節野菜をふんだんに使ったお肉or魚介のパスタ+サラダ、パン、コーヒーまたは紅茶のセット
- スモークサーモンや自家製パテ、はちみつ、フルーツコンポート+パン、スープ、コーヒーまたは紅茶のスコティッシュプレート
などから選べます。季節野菜やその時期に応じた新鮮なお魚などを使って調理されるため時期によって若干のメニュー変更もあるそうです。

石窯ガーデンテラスのアフタヌーンティー&スイーツ!
下段にはフィンガーサンド、中段にはスコーン、上段には季節のフルーツを使ったスイーツが乗っています。季節によってフィンガーサンドのフィリングとスイーツが変わります。また、イースターとクリスマスの時期には特別バージョンになるそうです。お庭の景色を見ながらゆっくり過ごせるのが人気のようです。
- 価格:税込3,080円
また、単品スイーツとして、
- クリームティー(スコーンと紅茶のセット) 税込1,200円
- 石窯ガーデンテラスのプリンセット 税込1,200円
- 季節のケーキセット 税込1,200円
があります。どれも美味しそうですね。

石窯ガーデンテラスの営業時間・定休日・お問い合わせ先など
- 営業時間:10:00~17:00(ラストオーダー16:00)
- 定休日:月曜日(祝祭日の場合は翌日に振替)、年末年始休業あり
- 電話番号:0467-22-8851
- ホームページ:https://www.ishigama.info/index.html
浄妙寺の授与品(御朱印・御朱印帳・お守りなど)
浄妙寺では3種類の御朱印が授与されています。
浄妙寺の場所と最寄り駅・最寄りバス停からのアクセス(行き方)
「最寄り駅から浄妙寺へのアクセス(行き方)」
JR横須賀線、又は江ノ島電鉄鎌倉駅東口から徒歩約30分
若宮大路を北に進み、鶴岡八幡宮手前を左に曲がります。
突き当りの宝戒寺の手前を右に進み、しばらく歩くと浄明寺バス停に着きます。
「最寄りバス停から浄妙寺へのアクセス(行き方)」
「浄明寺」バス停から駐車場沿いに北に入り徒歩約2分で山門(拝観入口)に着きます。
バスで鎌倉駅から浄妙寺へのアクセス(行き方)
- バスの系統・行先:鎌23鎌倉霊園正門前大刀洗行き、鎌24金沢八景行、鎌36ハイランド循環
- 乗車バス停:鎌倉駅東口バス停5番乗り場
- 降車バス停:浄明寺
- 所要時間:約8分、下車後徒歩約2分
- 運賃:大人200円
「浄妙寺の駐車場・駐輪場」
浄明寺のバス停のすぐ後ろにあります。
浄妙寺駐車場
- 所在地:浄明寺バス停前
- 営業時間: 9:00~17:00
- 収容台数: 20台
- 駐車料金: 500円/1時間
浄妙寺の拝観時間・拝観料・お問い合わせ先など
拝観時間
- 9:00~16:30
拝観料
- 大人(中学生以上)100円
- 小学生50円
- 障害者無料(要障害者手帳)
- 市内高齢者無料(要福寿手帳)
お問い合わせ先など
- 所在地:鎌倉市浄明寺3-8-31
- 電話番号:0467-22-2818
- ホームページ(鎌倉公式観光ガイド):https://trip-kamakura.com/place/183.html
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